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とりあえず生きている

2020年に入り、今年も多くの成人を迎える人々を見かけました。               私にもそんな時代があったんだなと、当時の事を何となく振り返りました。

とても天気の良かった今年の成人の日、仕事で六本木に向かい、撮影を終えたあと、      現場から徒歩3分程の場所に有る、とあるビルを目指しました。

ここは、今から約25年前までよく通っていた場所。

私が仕事を始めた頃、このビルの2階に親父のスタジオがありました。            スタジオといってもただの空間で、窓を黒く塗りつぶして遮光しただけの一室。        お世辞にも、綺麗とは言えないとろでよくお客さん立会で撮影をしてました。

私は主に撮影のセッティングや暗室での4×5フィルムの装填、お茶やコーヒーを入れたりと  日々親父や先輩のアシスタントに徹すると同時に、学生生活とは違う             社会や大人の理不尽さに初めて触れた場所でもありました。

今みたいにコインパーキングなどは無く、駐車場も契約していなかったので車を路駐して    よく駐車違反でレッカーされて無駄に免許の点数を減らしたり、車に乗って数時間       待機するなどの業務もありました。今に思えばとても無駄な時間です。

ビルの大家さんがたまに来てはお茶を飲んで昔の話しをしてくれました。記憶は曖昧ですが…   東京オリンピックの年に建てたこと。土台は松の木を使っていること。松は油を含んでいて   腐りにくいからこのビルは頑丈だという事。この付近は湿地帯だったという事。        ここ数年で周りの建物もどんどん変わってきたことなど、そんなたわいもない話し。

毎回同じ話なのはご愛敬。

再開発で、もうビル自体無くなってるかもなと思いながらも向かってみると…

ありました。昔と変わらない建物が今も建ち並んでました。                 両隣に並んでいるビルもそのお隣も相変わらず。

1階に入っている居酒屋とBarも変わらずそのまま。                     急に、その当時に引き戻されたような不思議な感覚。

そう、後を振り返らなければ。

この写真を撮っている所、つまりスタジオの向かいは当時お米屋さんでした。         しかし現在は頭上に立派なビルがそびえ立ってました。

ここに通っていた頃の自分はこの先の未来にどんな夢を描いていたのか。           今の現実を知ってどう受け止めるのか。出来る事ならもう一度会って話しをしてみたい。

「なにやってんだよ!」 とののしられるかも知れないが…

「とりあえず生きてるよ」 とだけ返したい。

現実なんてそんなもんだ。

新成人の皆さん

人生には近道も回り道もある。行き止まりもあるし、落とし穴もあるかも知れない。      岐路に立たされたときの選択、後戻りする勇気、這い上がる強さ、そして…          新に切り開いて行く力をしっかりと身につけて下さい。

改めて、成人おめでとう。

2020/01/17