やさしい建築写真教室



普段何気なく撮影している施工写真や現場写真、なかなかじっくり撮影している時間もないと思いますが、そんな状況でも、記録として、SNS用として、営業ツールとして活用できる写真が残せるといいですよね。

はじめまして。フォトグラファーの谷本 夏です。

今回、Landmark STOVEさんとのご縁から誰でも簡単にすぐできる写真撮影のコツや心構えをみなさんにお話しさせていただく機会をいただきました。1月25日に実際にみなさんにお会いしていろんなお話をしながら撮影の仕方まで披露できたらいいなと思っていたのですが、撮影のポイントを話しながらレクチャーをするとみなさんご自身の撮影時間があまり取れないのでは?という懸念から、唐突ではありますが、みなさんのステップアップにつながるお話を事前にさせていただきます。少し長くなりますが、どうぞお付き合いください。



ここちよい明るさ

撮影の基本といえば「適正な露出で撮る」ことです。
適正な露出とは、明るすぎず、暗すぎず、ちょうどいい明るさということです。
今はスマートフォンのカメラはとても進化しているのでよっぽどの逆光などでない限りあんまり気にせず撮っても問題はないですよね。
でも、逆光の部屋の中の撮影や薪ストーブが映り込んでいる部屋を撮ろうと思った時に、ストーブ内の炎の明るさが明るくなりすぎたりすることもあるかもしれません。

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そんな場合は部屋をメインにするか、薪ストーブをメインとするか自分の中で決めましょう。
部屋をメインに撮影して広く撮る場合は全体の明るさを優先します。
逆にストーブをメインとして撮影する場合はあまり広く撮らずストーブに寄って炎の明るさを基準に撮影するとしっくりくると思います。

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明るさを調整するには

撮影時にピントを合わせたいところや明るさを調整したいところを画面上でタップするとその部分が四角く表示され、その右横に太陽のようなマークが出てきます。その状態のまま明るくしたい場合は指を上にスライドします。暗くしたい時は下にスライドします。

下記画像は下にスライドして露出を暗くした画面です。

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一度シャッターを切って撮影するとその明るさが解除されてしまうので、数枚撮る時に毎回スライドさせるのも煩わしいので、そにう場合は露出補正機能を使って手動で明るさを選択、固定します。

下の画像は設定項目で露出補正の数値を固定する時のスライダーを表示しています。

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便利な機能

撮影時にスマートフォンのカメラで設定していただきたいのが「HDR機能」です。
最近のスマートフォンをお使いの方は初めからこの機能がONになっている場合が多いのでそのまま何もしなくて大丈夫です。
すこし前の機種を使っている方はカメラの設定から「HDR」の機能があるかどうか確認してみてください。

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「HDR」とはハイダイナミックレンジの略で通常よりも階調を豊かに記録し表示する機能です。
暗い部分は少し明るめに、明るい部分は明るさを押さえて記録、表示するといった具合です。

HDRがOFFではカーテンが白く飛んでいますが、ONではレースのカーテンから少し外の景色が感じられて階調が残っていることがわかります。

階調がない写真はあとからどうすることもできないのですが、記録する際に少しでも階調を記録しておくことで、撮影後に明るさなどの編集をある程度可能にしてくれます。



まっすぐに

撮影の基本その2は「水平垂直を気にする」ことです。
建物は必ず水平垂直をきっちり出して作られていることはご存知というか当たり前のことだと思いますが、施工写真の水平垂直がズレているとそれだけで気持ち悪く見えてしまいますよね。

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カメラが左に傾いていて右下がりの画像になってしまっている
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水平が取れていると安定感が増す

スマートフォンのカメラで水平垂直を意識して撮るのは難しいかもしませんが、撮影時にカメラ設定で「グリッド」を表示させて撮影すると傾きを意識することができるのでおすすめです。

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この格子状のタテヨコのラインがグリッドです。

カメラ設定に行くと「グリッド」という項目があると思うのでONになっていない方はONにして表示することをおすすめします。

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センスを磨く

撮影の基本その3は「構図」です。
「三分割構図」や「日の丸構図」などのいう言葉は聞いたことあるでしょうか?
いろいろな構図が存在するのですが、そういったものを意識するとバランスの取れた写真が撮れるとインターネットに書いてありました(笑)

構図の種類や名前は覚えなくて大丈夫です。

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これはある意味トレーニングというか、沢山撮っていくことでなんとなく身についてくるようなものだと思っていて、こうした方がいいです!こうしてください!といったものではないんですよね。今まで構図を全く意識したことがない方や、自分の写真にセンスがないと思っている方は意識して頭の片隅に置いておくといいかもしれません。

でもその前に、個人的な意見ではありますが、写真を撮る行為自体、何かを記録として残したかったり、伝えたいこと、見せたいところがあるから撮影すると思うので、何も考えず適当に撮る場合は別ですが、自ずと意識して撮影していると思います。

ポイントは、まず何を見せたいか自分の中で整理して、それをどう写したら伝わるのかを考えることです。

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冒頭の「適正な露出で撮る」でお話しした部屋全体を撮るか、薪ストーブに寄って撮るかという部分でも触れましたが、結論から言うと、どちらも撮影するのが正解なんです。さらに言うと、タテで撮るか、ヨコで撮るか、これも迷ってた両方撮るのが正解で、余裕があるならば正方形でも撮りましょう。

構図の考え方の一例です。

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少し広めに撮ってみる
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周囲を少しカットして寄る
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タテで天井や照明も写し込んでみる
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目線を落としダイニングテーブルとキッチンのレンガをメインに

一見無駄に沢山撮っているように思われるかもしれませんが、このようにいろんな構図や画角で撮影すると、だんだん自分に必要な構図や画角が見えてくるんですよね。その力がついてくれば、無駄に撮ることもなくなり、人に伝わりやすくセンスのいい写真に繋がっていきます。

前置きが長くなりましたが、実際に色々なポイントを写真と共に見ていきましょう。

つづきはこちら →→→ スマートフォンのカメラでできること